初歩から学ぶ量子力学 波動力学から行列力学、そして物質科学の入り口まで

佐藤博彦・著

初歩から学ぶ量子力学 波動力学から行列力学、そして物質科学の入り口まで

発行
2024/04/23
サイズ
B5
ページ数
320
ISBN
978-4-06-535340-0
定価
3,960円(税込)
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内容紹介

量子力学の初学者向けテキスト決定版! 大学1年生レベルの数学と物理の知識で、波動力学から行列力学まで一歩一歩着実に学べる。さらに「量子力学らしい」現象の理解のため、第二量子化や量子もつれの入り口まで迫る。

目次

第1章 序論
1.1 何のために量子力学を学ぶのか
1.2 古典力学の復習
 1.2.1 粒子の性質
 1.2.2 波動の性質
 1.2.3 粒子と波動の違い
 1.2.4 古典力学における光の理解
1.3 古典力学の破綻
 1.3.1 光電効果
 1.3.2 原子の発光スペクトル
1.4 量子論の幕開け
 1.4.1 プランクの量子仮説とアインシュタインの光量子仮説
 1.4.2 コンプトン効果
 1.4.3 光子の性質
 1.4.4 粒子と波動の二重性
 1.4.5 物質の波動性
 1.4.6 ボーアの原子模型
 1.4.7 残される課題

第2章 波動と波動方程式
2.1 1次元の波動
 2.1.1 波動の表し方
 2.1.2 重ね合わせの原理
 2.1.3 複素数による波動の記述
2.2 波動方程式
 2.2.1 波動方程式の導出
 2.2.2 波動方程式の解
 2.2.3 演算子と波動方程式
2.3 シュレディンガー方程式
 2.3.1 シュレディンガー方程式の導出
 2.3.2 1次元自由粒子
 2.3.3 3次元のシュレディンガー方程式と波動関数

第3章 波動関数の一般的性質
3.1 波動関数の意味
 3.1.1 波動関数と確率密度
 3.1.2 位置の期待値
 3.1.3 運動量の期待値
 3.1.4 エーレンフェストの定理
 3.1.5 群速度
 3.1.6 確率の流れ
3.2 定常状態
 3.2.1 時間を含まないシュレディンガー方程式
 3.2.2 固有値と固有関数
3.3 観測と固有関数
 3.3.1 位置の固有関数
 3.3.2 運動量の固有関数
 3.3.3 コペンハーゲン解釈による観測の原理
 3.3.4 不確定性原理
 3.3.5 コペンハーゲン解釈の問題点

第4章 1次元におけるシュレディンガー方程式
4.1 波動関数の一般的性質と簡単な具体例
 4.1.1 古典力学における1次元の運動
 4.1.2 波動関数の接続条件
 4.1.3 階段型ポテンシャル
4.2 井戸型ポテンシャル
 4.2.1 無限に深い井戸型ポテンシャル
 4.2.2 深さが有限の井戸型ポテンシャル
4.3 トンネル効果
4.4 調和振動子

第5章 3次元におけるシュレディンガー方程式
5.1 デカルト座標系で解ける問題
 5.1.1 自由粒子と平面波
 5.1.2 3次元における周期的境界条件
 5.1.3 箱型ポテンシャル問題
5.2 中心力ポテンシャル問題
 5.2.1 中心力
 5.2.2 角運動量保存の法則
5.3 球面極座標
 5.3.1 球面極座標の定義
 5.3.2 デカルト座標と球面極座標の偏微分どうしの関係
 5.3.3 球面極座標で表したラプラシアン
5.4 角運動量と球面調和関数
 5.4.1 角運動量演算子
 5.4.2 角運動量の固有関数と固有値
 5.4.3 ルジャンドル多項式
 5.4.4 ルジャンドル陪多項式
 5.4.5 球面調和関数
5.5 水素原子における電子の波動関数
 5.5.1 動径座標に関する方程式
 5.5.2 水素原子の固有関数と固有値
 5.5.3 水素原子の軌道
 5.5.4 磁場による分裂
 5.5.5 多電子原子

第6章 線形変換
6.1 線形変換と行列
 6.1.1 基底
 6.1.2 線形変換
 6.1.3 行列の和と積
 6.1.4 転置
 6.1.5 行列式
 6.1.6 逆行列
6.2 行列における固有値問題
 6.2.1 固有値と固有ベクトル
 6.2.2 固有ベクトルによる基底と行列の対角化

第7章 行列と量子力学
7.1 関数とベクトル
 7.1.1 関数の内積
 7.1.2 関数の直交性
 7.1.3 関数の完全正規直交系
 7.1.4 フーリエ展開
 7.1.5 状態ベクトル
7.2 演算子と行列
 7.2.1 線形演算子
 7.2.2 エルミート演算子
 7.2.3 固有関数と固有ベクトル
 7.2.4 オブザーバブル
 7.2.5 ユニタリ変換
7.3 波動関数と状態ベクトル
 7.3.1 固有値が連続変数の場合
 7.3.2 位置表示と運動量表示
 7.3.3 フーリエ変換
 7.3.4 ガウス型関数のフーリエ変換と不確定性原理
 7.3.5 観測と固有値
 7.3.6 期待値
 7.3.7 行列によるシュレディンガー方程式の表現

第8章 ハイゼンベルグの運動方程式
8.1 交換関係
 8.1.1 交換関係の定義
 8.1.2 交換関係の計算法
 8.1.3 正準交換関係
 8.1.4 交換関係と不確定性原理
 8.1.5 調和振動子の代数学的解法
8.2 ハイゼンベルグの運動方程式
 8.2.1 ハイゼンベルグの運動方程式の導出
 8.2.2 ハイゼンベルグ描像によるエーレンフェストの定理
 8.2.3 中心力場と角運動量保存の法則
8.3 電磁場中の荷電粒子
 8.3.1 電磁場中における荷電粒子のハミルトニアン
 8.3.2 アハラノフ・ボーム効果

第9章 角運動量とスピン
9.1 角運動量の一般的性質
 9.1.1 角運動量演算子の性質
 9.1.2 角運動量演算子の固有状態
 9.1.3 行列による表現
 9.1.4 角運動量と磁場
9.2 スピン
 9.2.1 スピンの発見
 9.2.2 パウリ行列
 9.2.3 電子の状態の表し方
 9.2.4 3重項状態と1重項状態

第10章 摂動論
10.1 定常状態における摂動論
 10.1.1 縮退がない場合
 10.1.2 調和振動子への応用
 10.1.3 縮退がある場合
 10.1.4 シュタルク効果
10.2 非定常状態における摂動論
 10.2.1 フェルミの黄金律
 10.2.2 湯川ポテンシャルによる散乱
 10.2.3 ラザフォード散乱
 10.2.4 摂動ハミルトニアンが時間的に振動する場合
 10.2.5 電気双極子遷移

第11章 フォノンとフォトン
11.1 弾性体の量子論
 11.1.1 量子力学的連成振動子
 11.1.2 仮想的調和振動子
 11.1.3 フォノン
 11.1.4 3次元におけるフォノン
11.2 フォトン
 11.2.1 電磁場の量子化とフォトン
 11.2.2 フォトンの運動量
 11.2.3 電磁波の吸収と放出
 11.2.4 コヒーレント状態

第12章 多粒子系の波動関数
12.1 相互作用がない多粒子系の波動関数
 12.1.1 相互作用がない2粒子系の波動関数
 12.1.2 古典力学と量子力学における粒子の違い
 12.1.3 ボース粒子とフェルミ粒子
12.2 ボース粒子系とフェルミ粒子系の状態ベクトル
 12.2.1 ボース粒子系の状態ベクトル
 12.2.2 数表示
 12.2.3 フェルミ粒子系の状態ベクトル
 12.2.4 多粒子系のハミルトニアン
12.3 生成・消滅演算子
 12.3.1 生成・消滅演算子
 12.3.2 1粒子ポテンシャル
 12.3.3 2粒子間相互作用

第13章 第二量子化
13.1 第二量子化
 13.1.1 場の演算子
 13.1.2 場の演算子による多粒子系のハミルトニアンの表現
13.2 粒子間相互作用がない多粒子系
 13.2.1 ハミルトニアンの対角化
 13.2.2 粒子間相互作用がない多粒子系における場の演算子の方程式
 13.2.3 時間を含む場の演算子
13.3 2粒子間相互作用がはたらく多粒子系
 13.3.1 2粒子間相互作用がある場合の場の演算子の方程式
 13.3.2 ハートリー・フォック法
 13.3.3 マクロな量子現象
 13.3.4 電子・フォノン相互作用

第14章 相対論的量子力学
14.1 相対性理論の基礎
 14.1.1 ガリレイ変換
 14.1.2 光速不変の原理とローレンツ変換
 14.1.3 エネルギーと運動量
14.2 ディラック方程式
 14.2.1 ディラック方程式
 14.2.2 非相対論的近似
 14.2.3 電子のスピン
 14.2.4 磁場中のスピン

第15章 量子もつれ
15.1 EPRのパラドックス
15.2 ベルの不等式
15.3 CHSHの不等式とアスペらの実験

付録
A ベクトル
 A.1 ベクトルの和,差,スカラー倍
 A.2 線形結合
 A.3 内積
 A.4 外積
B テイラー展開とオイラーの公式
 B.1 テイラー展開
 B.2 オイラーの公式
C 偏微分
D ベクトル解析
 D.1 勾配
 D.2 発散とガウスの定理
 D.3 回転とストークスの定理
 D.4 ベクトル恒等式
E 3次元における運動量の期待値とエーレンフェストの定理
 E.1 3次元における運動量の期待値
 E.2 3次元におけるエーレンフェストの定理
F 連続の方程式
 F.1 1次元における連続の方程式
 F.2 3次元における連続の方程式
G 特殊関数
 G.1 エルミート多項式
 G.2 ルジャンドル多項式
 G.3 ラゲール多項式
H ガウス型関数
 H.1 ガウス積分
 H.2 ガウス積分の複素数への拡張
I デルタ関数
 I.1 デルタ関数の定義
 I.2 フーリエ変換によるデルタ関数の表現
J シュミットの直交化
K 3次元弾性体
L 電磁気学の基礎
 L.1 荷電粒子の運動方程式
 L.2 マクスウェルの方程式
 L.3 電磁ポテンシャル
 L.4 ベクトルポテンシャルのゲージ
 L.5 ソレノイドコイルにおけるベクトルポテンシャルの例
 L.6 電磁場のエネルギー
 L.7 ポインティングベクトル
 L.8 電磁波の古典論
 L.9 電磁場の運動量