暗号の整数論素数研究が生きるセキュリティ技術

若山正人・編 金子昌信/境隆一・著

暗号の整数論素数研究が生きるセキュリティ技術

発行
2009/03/01
サイズ
A5判
ページ数
62
ISBN
978-4-06-157804-3
本体
1,600円(税別)
在庫
在庫無し

内容紹介

 本書の中心をなす数学,整数論は,いわゆる純粋数学の一分野として応用からもっとも遠いと思われてきた.しかもそれは,旺盛な好奇心を原動力に,今もたゆみなく発展している学問である.およそ2500年前,素数が無限に存在することがピタゴラス学派によって発見されたのも,おそらく彼らの一途な知的興味からであろう.その頃,じつはすでに暗号の歴史ははじまっていた.だが彼らの素数研究のなかに,何らかの意味で,暗号の作成に役立たせようとの意図を見出すことは難しい.
 そもそも,どうして整数論が現代の暗号に登場したのであろうか?標語的にいえば,それは,掛け算は簡単であるのに,素因数分解は格段に難しいという事実につきるだろう.じっさいこのことは,作成が容易で解読が困難であることを要求する暗号にうってつけだからである.さて,整数論といえば,数学に興味をお持ちの読者がおそらく真っ先に思い出されるのは,1994 年にプリンストン大学のワイルズにより提起以来360年ぶりに解決されたフェルマー予想と,未解決のままにある(ゼータ関数に関する)リーマン予想であろう.
求値が困難で有名な級数和の代表である(リーマンの)ゼータ関数は,数学において,もっとも根本的な関数である.ゼータ関数の歴史は,1734年の,数学者オイラーによる,自然数の平方の逆数の和が円周率の平方の6分の1になることの発見(1664年にボローニャ大学のメンゴーリにより定式化されたバーゼル問題の解決) にはじまる.
ピタゴラスからオイラーまでは2000年以上を要した.オイラーにはじまるゼータ関数の研究は1859年のリーマンの論文で深められた.
リーマン予想は素数分布の究極の規則性を保証するものである.この事実に基づき,1975 年には,カナダにいたミラーが,(一般)リーマン予想の成立を仮定して素数を高速で判定する方法を提出した.時はめぐり2002年8月には,リーマン予想を前提としない素数判定法がインドで発見され,暗号理論に衝撃をもたらした.それがAKS 素数判定法である.
今年は,リーマンが書いた唯一の整数論の論文―そこにはリーマン予想がある―が出版されてからも,ちょうど150年である.この記念すべき年に,本書・本シリーズが数学研究とその技術への応用双方への共感を促す契機のひとつとなることを期待してやまない. 2009年1月  編者(本書 第0章より)

目次

はじめに
第0 章 暗号の整数論―素数研究が生きるセキュリティ技術
テーマ 暗号の整数論
第1 章 公開鍵暗号
第2 章 初等整数論から,特に素数をめぐって
 2.1 整除,ユークリッドの互除法と素因数分解の一意性.
 2.2 素数をめぐって
 2.3 数の合同とオイラーの定理
第3 章 RSA 暗号と素因数分解
 3.1 RSA 暗号のアルゴリズム
 3.2 暗号の安全性.
 3.3 ディジタル署名
 3.4 鍵生成について
 3.5 素因数分解.
第4 章 文献案内
参考文献
索 引

リンク