計算統計入門/代数生物学大規模・高精度計算が拓いた新技法

若山正人・編 手塚集/吉田寛・著

計算統計入門/代数生物学大規模・高精度計算が拓いた新技法

発行
2008/06/20
サイズ
A5判
ページ数
123
ISBN
978-4-06-157802-9
本体
2,400円(税別)
在庫
在庫無し

内容紹介

本書では「大規模・高精度計算が拓いた新技法」として2つのテーマ「計算統計」と「代数生物学」をとりあげる.いずれも,コンピュータの処理能力の飛躍的な発達によってはじめて可能になった技術への数学である.前者については,たとえそれがどんな技術に繋がるのかの的確なイメージが描けなくても,計算と統計という用語からはそれ相応の想像がつくかと思う.しかしながら,おそらく後者については,そもそも代数生物学とは何なのかご存じない読者が大半だろう.ましてや,それがいかなる技術に繋がるのかが不明と思われるのは当然仕方のないことである.なぜなら代数生物学は,後で述べるように,きわめて新しい学問分野であるからだ.そこでまず,どうしてこのような2つのテーマがとりあげられることになったのかの説明からはじめよう.
コンピュータの発明といえば忘れてならない数学者として,フォン・ノイマン(1903-1957)とアラン・チューリング(1912-1954)の名が挙げられる.いずれも卓越した数学者であるが,特にチューリングといえば,第2 次世界大戦中,ドイツ海軍のU ボートのちょう跳りょう梁により亡国の危機に瀕した故国イギリスを,敵方の暗号を読みきることで救ったことでも有名である.チューリング・マシンで名高い彼は,現代計算機科学の父ともいわれている.
そのチューリングが,若くして亡くなる晩年,形態形成と数理生物学に関する研究に没頭していたことは,専門家以外にはあまり知られていない.彼は1952 年から1954 年まで,数理生物学,特に形態形成についての研究を行っていた.実際,1952 年には“The Chemical Basis of Morphogenesis”(形態形成の化学的基礎)と題する論文を発表している.彼のこの分野での関心は,フィボナッチ葉序の研究であった.それは,植物の葉のつき方に現れるフィボナッチ数列の存在についての話である.拡散方程式を用いた彼の研究手法は,現在でも形態形成の分野ではよく使われるものである.ただしその後の研究論文を知るには1992 年の『チューリング著作集』の出版まで待たなければならなかった.それにしてもチューリングは,アルゴリズムへの関心からであろうか,計算機と数理生物学に大いに興味を抱いていたようである.本書のテーマ設定は,その意味でチューリングの夢の延長線上にあるものと考えるのがよいかもしれない.計算統計と代数生物学という一見無関係に見えるテーマを同時にとりあげるのがふさわしいと考えた所以である.
(本書 第0章より)

目次

はじめに

第0 章「計算統計入門」と「代数生物学」

テーマ1  計算統計入門
第1 章ビュッフォンの麺
第2 章次元の呪い
第3 章独立な高次元サンプリング
第4 章マルコフ従属なサンプリング
第5 章大域感度分析
第6 章文献案内

テーマ2  代数生物学
第1 章多細胞系の形式言語による理解と記号計算による関係式の導出
1.1 代数生物学
1.2 形式言語によるクラミドモナスからボルボックスへ向けての形の進化
1.3 限量記号消去法による多細胞の細胞タイプ関係式の導出
第2 章記号計算によるパーキンソン病診断
2.1 PET によるパーキンソン病診断
2.2 コンパートメントモデル
2.3 外力消去とたたみ込み積分
2.4 パーキンソン病のラプラス変換による診断
2.5 ラプラス空間上での反応定数決定(まとめ)
2.6 ラプラス空間上での代数的手法

索引

リンク