触媒化学 基礎から応用まで

田中庸裕/山下弘巳・編著 薩摩 篤/町田正人/宍戸哲也/神戸宣明/岩﨑孝紀/江原正博/森 浩亮/三浦大樹・著
シリーズ:
エキスパート応用化学テキストシリーズ

触媒化学 基礎から応用まで

発行
2017/11/07
サイズ
A5
ページ数
286
ISBN
978-4-06-156811-2
定価
3,300円(税込)
在庫
在庫あり

書籍を購入する

定価
3,300円(税込)

電子書籍

※価格は紙の本と異なります。また、書店によって価格が異なる場合もあります。※配信開始日は各書店により異なります。書店によっては取り扱いのない作品もございます。あらかじめご了承ください。
電子書籍版を見る

内容紹介

本書は触媒について基礎から応用までていねいに解きほぐした教科書です。
全体を通して、触媒化学のおもしろさを知っていただけるようなつくりを心がけました。

「第1章 触媒・触媒化学の歴史」では、まず「触媒とはなにか?」ということを理解するために、触媒概念の確立までの歴史を紹介した後、触媒の分類などの基本的事項について解説します。
「第2章 化学産業と触媒プロセス」では、触媒の産業における位置づけや、触媒の調製法、触媒反応器の特徴、触媒劣化など触媒反応を操作するときの実際的な問題について触媒反応工学的観点から詳述しました。
「第3章 触媒反応の反応機構および反応速度論」では、基本的な道具として、主に熱力学、反応速度論に基づく基礎概念について解説しました。
「第4章 石油精製プロセスおよび石油化学プロセス」では、原油の精製とそれから導かれるバルク製品の製造プロセスについて概説しました。
「第5章 工業触媒」では、現在稼働している工業プロセスにおける代表的な触媒プロセスに対してスポットを当て、その反応機構なども含めて詳述しています。
「第6章 ファインケミカルズ合成触媒1:不均一系触媒」および「第7章 ファインケミカルズ合成触媒2:均一系触媒」では、高機能性製品であるファインケミカルズの製造に用いられる不均一系触媒、均一系触媒による化学反応について、現在進行形のものも含めて解説しています。
「第8章 環境触媒」では、環境触媒を扱っています。環境触媒は一般に廃棄物を清浄化するものと考えられていますが、汚染原因となるものを原料の段階で除去する役割もあります。
「第9章 エネルギー関連触媒」では、エネルギーとエネルギー貯蔵という観点から、燃料電池、バイオマスを特に強調しています。
「第10章 光触媒」では、本多─藤嶋効果からペロブスカイト太陽電池まで、幅広く解説しています。エネルギー問題、資源問題の解決に重要な役割を担う可能性があるため、触媒化学の一分野として学ぶ必要があります。
「第11章 触媒のキャラクタリゼーション」では、触媒の分析・解析(キャラクタリゼーション)手法および計算化学に関して豊富な具体例とともに解説しています。

目次だけを見ると各論の集まりのように感じられるかもしれませんが、それぞれが基礎と同じ土台の上に築かれたものであることがわかるように企図しました。触媒の真髄がわかる最高の教科書です。自信をもってお薦めします。

目次

第1章 触媒・触媒化学の歴史
1.1 身のまわりで活躍する触媒
1.2 触媒がどうして化学反応を促進するのか
1.3 触媒という概念の形成
1.4 触媒概念の形成以降の進展
1.5 触媒の基礎研究の変遷
1.6 触媒の分類および各元素の触媒での機能
1.7 本書で学ぶこと

第2章 化学産業と触媒プロセス
2.1 化学産業と触媒
2.2 触媒の調製法
2.3 触媒プロセスと反応器
2.4 触媒の分離方法
2.5 触媒の劣化および寿命

第3章 触媒反応の反応機構および反応速度論
3.1 触媒反応の速度論
3.2 吸着の科学
3.3 不均一系触媒反応の反応機構と速度式

第4章 石油精製プロセスおよび石油化学プロセス
4.1 石油と触媒化学
4.2 石油精製プロセス
4.3 石油化学プロセスの概要
4.4 酸化反応の触媒プロセス

第5章 工業触媒
5.1 水素の製造
5.2 無機化学製品の製造
5.3 C1化学
5.4 還元反応の触媒プロセス
5.5 酸化反応の触媒プロセス

第6章 ファインケミカルズ合成触媒1:不均一系触媒
6.1 不均一系触媒と均一系触媒
6.2 固体酸触媒によるファインケミカルズ合成
6.3 固体塩基触媒によるファインケミカルズ合成
6.4 金属触媒によるファインケミカルズ合成

第7章 ファインケミカルズ合成触媒2:均一系触媒
7.1 均一系触媒の特徴
7.2 ワッカー酸化,ヒドロホルミル化反応:アルケンの反応
7.3 クロスカップリング反応
7.4 メタセシス反応
7.5 不斉反応
7.6 高分子合成

第8章 環境触媒
8.1 環境触媒とは
8.2 脱硝触媒
8.3 脱硫触媒
8.4 自動車触媒
8.5 触媒燃焼
8.6 水処理触媒

第9章 エネルギー関連触媒
9.1 エネルギー問題と触媒
9.2 燃料電池に関連する触媒
9.3 メタノールおよびジメチルエーテル製造触媒
9.4 バイオマス利用のための触媒

第10章 光触媒
10.1 光触媒とは
10.2 酸化チタン光触媒の研究開発の歴史
10.3 光触媒反応の反応機構と活性を決める因子
10.4 酸化チタン光触媒の応用
10.5 酸化チタン光触媒の固定化・薄膜化
10.6 可視光応答型光触媒
10.7 光触媒による水分解
10.8 色素増感太陽電池
10.9 ペロブスカイト太陽電池

第11章 触媒のキャラクタリゼーション
11.1 触媒分析の概要
11.2 表面・バルクの構造や性質の解析
11.3 反応機構の解析
11.4 計算化学