分子栄養学

宮本賢一/井上裕康/桑波田雅士/金子一郎・編
シリーズ:
栄養科学シリーズNEXTシリーズ

分子栄養学

発行
2018/03/27
サイズ
B5
ページ数
235
ISBN
978-4-06-155397-2
定価
3,520円(税込)
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内容紹介

分子生物学の基本的な部分を取り入れながら、臨床での栄養教育につながるテーラーメイド栄養学を平易に解説 するテキスト。各栄養素と遺伝子発現、疾患予防・治療のための分子メカニズムに迫る。

目次

0. 分子栄養学
0.1 求められる分子栄養学
0.2 栄養学と分子栄養学
0.3 分子栄養学の視点で再構築する栄養学の知識
A. 「生物学にみる分子の世界編」
B. 「分子栄養学の理解に必要な基礎知識編」
C. 「栄養素による遺伝子発現や分子機能の調節編」
D. 「生体調節と分子栄養学編」
E. 「疾患の成り立ちと予防のための分子栄養学編」
F. 「解析技術の進歩と分子栄養学編」
0.4 現代食生活における疑問には,分子栄養学の知識が重要
生物学にみる分子の世界編
1. 生物の多様性と進化
1.1 生物と進化
A. 進化の概念:『種の起源』と突然変異説から総合説へ
B. 中立説
C. 細胞内共生説
1.2 生物の多様性とは
A. 種内の多様性,種間の多様性,生態系の多様性
B. 生物の多様性を脅かすもの
1.3 遺伝子の多様性と進化
A. ゲノム重複は,どのように進化にかかわったのか
B. 偽遺伝子と進化:ヒトはなぜビタミンC を摂取しなければならないのか
1.4 真核生物と原核生物
A. 生物は,真核生物と原核生物に分類される
B. 真核細胞の誕生
2. 細胞間の情報伝達
2.1 細胞の結合による伝達
A. 細胞同士の結合
B. 細胞と細胞外基質との結合
2.2 情報伝達分子と受容体による伝達
A. シナプスにおける神経細胞間情報伝達メカニズム
B. 局所的化学伝達物質
C. ホルモンによる伝達
2.3 ホルモンと内分泌因子
A. ホルモンの特徴
B. ホルモンの合成と分泌
C. ホルモンの作用機構
3. 細胞内の情報伝達
3.1 細胞の構造
A. 細胞膜
B. 細胞小器官
3.2 細胞内輸送
A. 膜結合型リボソーム合成型タンパク質の輸送
B. 遊離型リボソーム合成型タンパク質の輸送
3.3 細胞内情報伝達
A. G タンパク質共役型受容体による情報伝達
B. チロシンキナーゼによる情報伝達
C. イオンチャネル型受容体による情報伝達
D. 核内受容体による情報伝達
分子栄養学の理解に必要な基礎知識編
4. 遺伝子の発現とその制御
4.1 遺伝子構造と染色体
4.2 DNA 複製のしくみ
4.3 転写因子と転写調節
A. 転写因子とは
B. 転写調節
4.4 RNA 合成,RNA プロセシング
A. RNA 合成
B. RNA プロセシング
4.5 タンパク質合成,翻訳後修飾,タンパク質分解
A. タンパク質合成
B. 翻訳後修飾
C. タンパク質の分解
5. ヒトゲノム
5.1 ヒトの遺伝子と多様性
A. ヒトゲノムの構成
B. ゲノム情報を利用した進化学
C. ヒトゲノムの多様性
5.2 タンパク質をコードする遺伝子
A. タンパク質をコードする遺伝子
B. 偽遺伝子
5.3 遺伝子ファミリーとは
5.4 遺伝子多型
A. 一塩基多型
B. 反復配列の多型
C. コピー数多型
5.5 非コードRNA
6. エピゲノム
6.1 エピゲノムとは
A. エピジェネティックな変化と遺伝子発現
B. DNA のメチル化
C. ヒストン修飾
6.2 エピゲノムと栄養
6.3 生活習慣病とエピゲノム
A. 胎児期の栄養環境と生活習慣病
B. がんとエピゲノム
C. エピゲノム解析
7. テーラーメイド栄養学とニュートリゲノミクス
7.1 テーラーメイド栄養学
7.2 単一遺伝子病と慢性疾患
7.3 葉酸代謝とテーラーメイド栄養
7.4 ニュートリゲノミクス
A. オミクス解析技術
B. バイオインフォマティクス
7.5 ニュートリゲノミクスを用いた栄養学研究
A. 肥満と炎症の関連
B. 糖尿病患者における遺伝子発現の低下
C. 健常者の骨格筋における遺伝子発現の低下
栄養素による遺伝子発現や分子機能の調節編
8. 糖質,脂質,タンパク質と遺伝子発現
8.1 糖質による遺伝子発現
A. グルカゴンによるG タンパク質の活性化
B. インスリンによる血糖低下
C. 肝臓におけるグルコースによる遺伝子発現の調節
D. 膵B 細胞でのPDX -1 によるインスリン遺伝子発現の調節
8.2 脂質による遺伝子発現
A. 脂質摂取により発現が調節される遺伝子
B. 脂肪酸による遺伝子発現の調節
C. 胆汁酸による遺伝子発現の調節
D. コレステロールによる遺伝子発現の調節
8.3 タンパク質(アミノ酸)と遺伝子発現
9. ビタミンの分子栄養学
9.1 脂溶性ビタミンの分子栄養学
A. ビタミンA
B. ビタミンD
C. ビタミンE
D. ビタミンK
9.2 水溶性ビタミンの分子栄養学
A. ビタミンB6
B. ナイアシン
C. 葉酸
D. ビタミンC
10. ミネラル,非栄養素の分子栄養学
10.1 ミネラルの分子栄養学
A. ナトリウム
B. カリウム
C. カルシウム
D. リン
E. マグネシウム
F. 鉄
G. 亜鉛
H. 銅
10.2 食品,非栄養素と分子生物学
生体調節と分子栄養学編
11. 感覚の分子栄養学
11.1 感覚受容
A. 感覚受容細胞
11.2 嗅覚の分子栄養学
A. 食品の匂い
B. 嗅覚における匂い物質の認識
11.3 味覚の分子栄養学
A. 味の種類
B. 基本味の意義
C. 味を感じる器官
D. 味覚受容体の発見
E. 味覚受容体を用いた基本味の測定
F. うま味の相乗効果
G. 甘味物質同士の相互作用
11.4 感覚の記憶
A. 大脳皮質における味の認識
B. 食嗜好の個人差
12. 時間栄養学
12.1 時計遺伝子
A. 2 種の体内時計
B. 時計遺伝子とテロメア
C. 時計遺伝子の分子機構
D. 時計遺伝子からテロメアへの情報伝達機構
12.2 食事摂取と体内時計
A. 摂食時刻の肥満への影響
B. 食事による末梢時計遺伝子のリセット
12.3 疾患と時計遺伝子
A. 日周リズム異常と心身疾患
B. テロメアの短縮と糖尿病,動脈硬化
C. 中枢の代謝支配
疾患の成り立ちと予防のための分子栄養学編
13. 疾患の分子栄養学
13.1 単一遺伝子病(メンデル遺伝病)
A. 単一遺伝子病の種類
B. 単一遺伝子病と分子栄養学
13.2 全ゲノム情報と多因子疾患
A. SNPs と全ゲノム関連解析(GWAS)
B. がんと分子栄養学
C. 糖尿病と分子栄養学
D. 脂質異常症と分子栄養学
E. 高血圧症と分子栄養学
F. 腎疾患と分子栄養学
14. 肥満の分子栄養学
14.1 肥満の病態と栄養
A. 脂肪細胞
B. エネルギー産生栄養素
C. 骨格筋の増量
D. サルコペニア肥満
14.2 肥満と遺伝子
A. 単一遺伝子変異による肥満
B. 倹約遺伝子
C. 肥満・生活習慣病とエピジェネティクス
14.3 脂肪細胞の分化,増殖
A. ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)
B. PPAR γと脂肪細胞分化
C. PPAR γ以外の核内受容体の脂肪細胞分化への関与
D. 脂肪組織と炎症
14.4 肥満に対するテーラーメイド栄養学の展望
A. 肥満と遺伝子多型
解析技術の進歩と分子栄養学編
15. 微生物群集のゲノムを網羅的に解析するメタゲノムの解析技術
15.1 ヒト常在菌叢とは
15.2 細菌叢の解析法
A. 次世代シークエンサー(NGS)
B. 腸内細菌叢DNA の調製
C. 16S rRNA 遺伝子による解析
D. メタゲノムデータによる解析
E. 参照ゲノムデータベースの活用
15.3 ヒトマイクロバイオームの全体像
A. 細菌組成の全体像
B. 腸内以外の常在菌叢
C. ヒト腸内細菌叢の国間比較
15.4 常在菌叢の変容と疾患
15.5 生理作用をもつ腸内細菌とその作用機構
15.6 ヒト腸内細菌叢の遺伝子と機能
A. 遺伝子と機能の全体像
B. 水平伝播による機能の獲得
16. 食品の遺伝子組換え
16.1 遺伝子導入法
A. 間接導入法
B. 直接導入法
16.2 遺伝子組換え作物
A. 日持ちのよいトマト
B. 除草剤耐性の作物
C. 害虫に強いトウモロコシ
D. ウイルス病抵抗性のパパイア
16.3 開発中の遺伝子組換え作物
A. オレイン酸が約3 倍多いダイズ
B. 低タンパク質イネ
7. 遺伝子治療と再生医療,それを支える技術
17.1 遺伝子治療
A. 遺伝子治療の種類
B. 遺伝子治療の安全性
17.2 再生医療
A. 体性幹細胞
B. ES 細胞
C. iPS 細胞
D. 幹細胞から臓器を作製する研究
17.3 遺伝子改変技術
A. トランスジェニックマウス
B. ノックアウトマウス
C. 条件付きノックアウトマウス
D. ゲノム編集技術
17.4 クローン技術
A. クローンヒツジドリーの誕生
B. クローンES 細胞
参考書
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