新・臨床栄養学

竹谷豊/塚原丘美/桑波田雅士/阪上浩・編
シリーズ:
栄養科学シリーズNEXTシリーズ

新・臨床栄養学

発行
2016/01/26
サイズ
B5判
ページ数
319
ISBN
978-4-06-155384-2
定価
4,180円(税込)
在庫
在庫なし

内容紹介

栄養診断を取り入れた栄養管理プロセスの基本的な考え方を学び,疾患別の栄養管理を最新の知見でまとめる.疾患別では病態,生理学,栄養管理,栄養療法,栄養教育を詳述.管理栄養士国家試験出題基準,モデルコアカリキュラム準拠.栄養ケアマネジメントからの移行がスムーズに理解できるテキスト.

 近年,疾病の予防・治療において栄養管理の重要性は,臨床現場で広く認識されている.多くの疾患の診療・治療ガイドラインを見ても,栄養管理に言及していないものはほとんど無い.適切な栄養管理を実施するためには,傷病者の病態や医学的治療の状況を理解した上で,患者の体内での栄養代謝状態の評価を行い,それに基づく栄養管理の計画を策定し実施していく必要がある.さらには,実施後のモニタリングと評価を行い,患者の病態の変化に応じた栄養管理を進めるとともに,実施後の評価をまとめて栄養管理のエビデンスを確立し,より良い栄養管理を目指していかなければならない.
 栄養科学シリーズNEXT では,これまでに「臨床栄養学第2 版」,「臨床栄養管理学総論」,「臨床栄養管理学各論第2 版」の各書を刊行してきた.しかし,医療の高度化と専門化が進み,栄養管理に関する知識や技能についても新しい考え方,新しい技術の開発,エビデンスの確立が日々進んでいる.今回,これらを整理し,1 冊にまとめ「新・臨床栄養学」として刊行するに至った.また,日本栄養改善学会の管理栄養士養成課程におけるモデルコアカリキュラムおよび管理栄養士国家試験出題基準ガイドラインの項目も網羅した.
 「栄養管理の基礎」では,栄養評価法や栄養補給法などの栄養管理を実施するために必要な知識だけでなく,医療制度,管理栄養士として患者と向き合うための心構え,チーム医療の一員としての役割なども学ことができるように編集した.また,栄養管理の基本概念については,「栄養ケアマネジメント」から,国際標準化に即した「栄養管理プロセス」に移行しつつあることから,「栄養管理プロセス」を取り入れた内容とした.「病態別栄養管理」では,各傷病に対して,「病態」,「栄養管理に必要な生理学」,「栄養評価」,「栄養療法」,「栄養教育」と傷病別の栄養管理を体系的に学習できる内容とした.
 学生諸氏には,本書で臨床栄養学を学び,どの分野で栄養管理を担うことになっても,管理栄養士として傷病者の栄養管理をバックグラウンドに持ち,栄養管理の発展に貢献できる人材として成長してくれることを願っている.また,臨床現場で活躍される管理栄養士の方にも学生の臨地実習の指導などにご活用いただければ幸いである.
(まえがきより)

【シリーズ総編集】木戸康博/宮本賢一
【シリーズ編集委員】河田光博/桑波田雅士/郡俊之/塚原丘美/渡邊浩幸
【執筆者一覧】新井英一/伊藤美紀子/大西律子/奥村仙示/北岡かおり/北島幸枝
木戸慎介/桑波田雅士/阪上浩/佐久間理英/白神俊幸/多賀昌樹/竹谷豊/立花詠子
塚原丘美/堤理恵/角田伸代/妻木陽子/西田由香/原田永勝/増田真志/安井苑子
山下(清水)扶美/山本浩範/横山しつよ/芳野憲司

目次

第1編 栄養管理の基礎
1 臨床栄養学の概念
 1.1 臨床栄養の意義と目的
 1.2 医療・福祉・介護と臨床栄養
  A. 医療・福祉・介護における食事管理の意義
  B. 医療・福祉・介護における管理栄養士・栄養士の役割と職業倫理
  C. チーム医療
  D. リスクマネジメント
  E. 傷病者の権利
  F. インフォームドコンセント
  G. 在宅ケア
 1.3 医療制度と介護制度
  A. 医療保険制度と栄養管理
  B. 介護保険制度と栄養管理
2 栄養管理
 2.1 傷病者の栄養管理
  A. 傷病者,要介護者(要支援者)
  B. 栄養管理に基づいた栄養治療計画
  C. クリニカルパス
 2.2 栄養スクリーニング
  A. 栄養スクリーニングの意義
  B. 栄養スクリーニングの方法
 2.3 栄養評価
  A. 臨床診査
  B. 身体計測
  C. 臨床症候
  D. 臨床検査
  E. 食事摂取量調査
 2.4 栄養診断
 2.5 栄養介入
   2.5.1 栄養必要量
    A. エネルギー
    B. タンパク質
    C. 脂質
    D 炭水化物
    E. ビタミン
    F. 電解質(ミネラル)
    G. 水分量
   2.5.2 栄養補給法
    A. 栄養補給法の選択
    B. 経口栄養法
    C. 経管栄養法
    D. 静脈栄養法
 2.6 モニタリング
  A. 糖尿病患者での例
  B. 術後患者での例
3 栄養管理の記録
 3.1 意義と目的
  A. 栄養管理記録の意義と目的
 3.2 問題志向型システム
  A. POSに基づいた栄養管理プランの作成
  B. POMRの作成
  C. POSと栄養管理プロセス
4 食事と医薬品の相互作用
 4.1 薬物の作用と代謝
  A. 薬物体内動態
  B. 薬理学的作用
 4.2 飲食物・栄養が医薬品に及ぼす影響
  A. 薬物動態学的相互作用
  B. 薬理学的相互作用
 4.3 医薬品が飲食物・栄養に及ぼす影響
  A. 味覚の変化
  B. 食欲の変化

第2編 病態別栄養管理
5 栄養・代謝・内分泌系疾患
 5.1 タンパク質・エネルギー栄養障害,リフィーディング
  5.1.1 タンパク質・エネルギー栄養障害
  5.1.2 リフィーディング症候群
 5.2 ビタミン・ミネラルの欠乏症と過剰症
  5.2.1 ビタミンの欠乏症と過剰症
  5.2.2 ミネラルの欠乏症と過剰症
 5.3 電解質異常
 5.4 メタボリックシンドローム
 5.5 肥満症
 5.6 糖尿病
 5.7 脂質異常症
 5.8 高尿酸血症,痛風
 5.9 甲状腺機能亢進症,甲状腺機能低下症
 5.10 副腎疾患
6 循環器系疾患
 6.1 高血圧症
 6.2 動脈硬化症
 6.3 脳血管障害
 6.4 虚血性心疾患
 6.5 心不全
 6.6 妊娠高血圧症候群
7 消化器系疾患
 7.1 口腔疾患
 7.2 摂食・嚥下障害
 7.3 急性胃粘膜病変,消化性潰瘍,慢性胃炎
 7.4 胃食道逆流症,胃切除後症候群
 7.5 炎症性腸疾患,タンパク漏出性腸症
  7.5.1 クローン病
  7.5.2 潰瘍性大腸炎
  7.5.3 タンパク漏出性腸症
 7.6 下痢,便秘,過敏性腸症候群
  7.6.1 下痢
  7.6.2 便秘
  7.6.3 過敏性腸症候群
 7.7 肝炎
 7.8 肝硬変
 7.9 脂肪肝,アルコール性肝障害,非アルコール性脂肪肝炎
  7.9.1 脂肪肝
  7.9.2 アルコール性肝障害
  7.9.3 非アルコール性脂肪肝炎
 7.10 胆石症(胆嚢炎,胆管炎)
 7.11 急性膵炎,慢性膵炎
  7.11.1 急性膵炎
  7.11.2 慢性膵炎
8 腎・尿路系の疾患
 8.1 腎炎症候群
 8.2 ネフローゼ症候群
 8.3 急性腎障害
 8.4 慢性腎臓病
 8.5 糖尿病性腎症
 8.6 尿路結石
 8.7 血液透析,腹膜透析
9 外科分野
 9.1 消化器術前,術後
 9.2 短腸症候群
 9.3 人工肛門造設後
 9.4 ICUおよびCCUにおける栄養管理(クリティカルケア)
 9.5 病原微生物,院内感染症・敗血症
  9.5.1 病原微生物
  9.5.2 院内感染症,敗血症
 9.6 熱傷
10 精神・神経疾患
 10.1 摂食障害
  10.1.1 神経性やせ症(神経性食欲不振症)
  10.1.2 神経性過食症
 10.2 認知症,パーキンソン病
  10.2.1 認知症
  10.2.2 パーキンソン病
 10.3 筋萎縮性側索硬化症
11 呼吸器疾患
 11.1 急性気管支炎,肺炎
 11.2 気管支喘息
 11.3 慢性閉塞性肺疾患
12 血液系疾患
 12.1 鉄欠乏性貧血,その他の貧血
 12.2 出血性疾患
 12.3 白血病
13 筋・骨格系疾患
 13.1 骨粗鬆症
 13.2 くる病,骨軟化症
 13.3 変形性関節症
 13.4 サルコペニア,廃用性筋萎縮,フレイル
14 免疫・アレルギー疾患,皮膚系疾患
 14.1 食物アレルギー
 14.2 リウマチ性疾患
 14.3 免疫不全
  14.3.1 免疫不全症候群
  14.3.2 後天性免疫不全症候群
 14.4 炎症性皮膚疾患,アトピー性皮膚炎
15 悪性腫瘍
 15.1 消化管のがん
  15.1.1 食道がん
  15.1.2 胃がん
  15.1.3 大腸がん
 15.2 消化管以外のがん
  15.2.1 肝臓がん
  15.2.2 膵臓がん
  15.2.3 肺がん
16 乳幼児,小児疾患
 16.1 消化不良症
 16.2 周期性嘔吐症(アセトン血性嘔吐症,自家中毒症)
 16.3 先天性代謝異常症
 16.4 小児肥満
 16.5 小児糖尿病(1型糖尿病)
 16.6 小児の腎疾患
17 要介護者,身体・知的障害者
 17.1 要支援・要介護者の栄養管理:老年症候群
  17.1.1 誤嚥
  17.1.2 褥瘡
  17.1.3 尿失禁,便失禁
  17.1.4 転倒
 17.2 障害者の栄養管理
  17.2.1 身体障害
  17.2.2 知的障害
  17.2.3 精神障害

付表:血液生化学検査,尿検査
参考書
索引