栄養生理学・生化学実験

加藤秀夫/木戸康博/桑波田雅士・編
シリーズ:
栄養科学シリーズNEXTシリーズ

栄養生理学・生化学実験

発行
2012/02/20
サイズ
A4判
ページ数
174
ISBN
978-4-06-155349-1
本体
2,800円(税別)
在庫
在庫あり

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2,800円(税別)

内容紹介

基礎を重視したモデルコアカリ準拠の実験書.基礎栄養学,人体の構造と機能,臨床栄養学で学んだ内容をより深めるためのスタンダードな実験を提供する.基本操作から遺伝子操作まで多様なレベルにあわせた.

 

 人間に限らずすべての生き物は,生きるために必要な物質を体外から取り組み,それを無駄なく利用している.この現象を栄養といい,この現象を科学的に探求するのが栄養学である.
 栄養学の目的は,健やかに生きる力を知ることと,同時に,生きる力の科学的保障を究めることである.生体研究を中心とする栄養学は,他の基礎科学を的確に導入することでより人間の健康に貢献することができる.この目標を達成するために,栄養学に限らず実験科学では,教科書や参考書で修得した知識を客観的に分析する能力を養う必要があり,その結果,新しい知見や発見をもたらすことが可能となる.実験的思考力と貴重な経験を積み重ねていく過程において,必然的に何も難しい考え方と方法がなくても,いつの間にか直感的把握力が養われるものであって,この辺がいわゆる研究実験者としての強みになる.栄養学を志す学生は確かめる能力と応用する力をなくして,これからの栄養学の実践者,教育者,ましてや研究者にはほど遠いと思われる.「川に沿って歩み,瞬時に浅瀬の流れを渡れ」,つまり熱意と根気のいる基礎科学的な実験技術を修得・熟知し(川に沿って歩み),栄養生理・生化学の重要性を認識できた時,相応の新しい栄養学の方向性を見出す(浅瀬の流れを渡れ)ことが可能になる.
 本書は日本栄養改善学会で報告された「管理栄養士養成課程における専門基礎分野・専門分野の実験・実習・演習の現状」(2011 年9 月)を念頭に構成されている.
 本書の内容は栄養学実験の心構えや事前準備から始まって,栄養素の定量実験,実験動物を用いた生体実験,肝臓などの生体成分と血液や尿の生化学成分を分析する実験,最後に栄養学を人体側から理解を深める試みを重視した.食品学実験でも扱う栄養素の分析であっても生体を試料としていることを常に意識できるよう配慮した.記載は栄養生化学と栄養生理学に共通する基礎化学的な実験技術,たとえば試薬の調製や取り扱いのポイントなど準備を含め基礎から応用にわたって広範囲に及んでいる.本書では管理栄養士,栄養士養成施設においてこれだけは知って卒業してほしいという内容を盛り込み,実験担当者が施設の設備にあわせて適宜選択的に活用できるようにしている.執筆者は,いずれも大学で管理栄養士などの教育・研究に長年携わってこられた方々であり,実験内容の企画と
解説に学生に対する思いやりと工夫がみられ,それらを通して厚い抱負が感じられるものである.実験方法はできるだけ図解するよう心掛けたのもその一面である.単に実験においての現象のみを見るだけでなく,原理,目的など,実験内容を把握し,フローシートなどと比較しながら,実験によって進行する反応過程をこまめ(理論的)に理解し,実験に対する魅力を喚起し,将来,研究・教育者,専門技術者(管理栄養士)として応用力を備えるように配慮した.
(まえがきより)

【シリーズ総編集】中坊幸弘/山本茂 
【実験・実習編担当委員】岡崎眞/片井加奈子/加藤秀夫/桑波田雅士 
【執筆者一覧】伊藤美紀子/石見百江/加藤秀夫/木戸康博/国信清香/倉橋優子/桑波田雅士/小林ゆき子/佐野尚美/重村泰毅/田中理子/中村亜紀/原田永勝/福渡努/村松陽治/山本浩範/横山芽衣子

目次

準備編
1. 実験を始める前の予備知識
 1.1 実験の心得と心構え
 1.2 器具の名称と取り扱い
2. 基本操作と測定原理
 2.1 試薬溶液の濃度と調整方法
 2.2 pHの基礎知識
 2.3 比色定量と分光光度法
 2.4 細胞分画の方法
3. 栄養生理学・生化学実験の対象と研究倫理
 3.1 ヒトを対象とした実験
 3.2 実験動物を対象とした実験
 3.3 実験動物の麻酔,屠殺,廃棄方法
 3.4 実験動物の生体成分の採取方法
分析手法編
4. 生体成分の分析方法
 4.1 グリコーゲンの抽出と定量
 4.2 タンパク質の定性と定量
 4.3 アミノ酸の定性と定量
 4.4 総脂質の抽出と定量
 4.5 中性脂肪の定量
 4.6 リン脂質の定量
 4.7 肝臓の脂肪酸の定量
 4.8 糖質栄養にかかわる酵素活性の測定
5. 血液成分の分析方法
 5.1 血糖の定量
 5.2 総タンパク質の定量
 5.3 アルブミンの定量
 5.4 血中尿素窒素の定量
 5.5 血中尿酸の定量
 5.6 血中クレアチニンの定量
 5.7 血中中性脂肪の定量
 5.8 血中コレステロールの定量
 5.9 血中遊離脂肪酸の定量
 5.10 血清酵素(アミノ基転移酵素)の測定
 5.11 血中ビタミン(B1,B2,C)の定量
 5.12 血中ミネラル(Fe,Ca,Mg,P)の定量
6. 尿成分の分析方法
 6.1 総窒素量の定量
 6.2 尿中尿素窒素の定量
 6.3 尿中尿酸の定量
 6.4 尿中クレアチニンの定量
 6.5 尿中ビタミン(B1,B2,C)の定量
 6.6 尿中ミネラル(Na,P,Ca)の定量
生体反応編
7. 酵素反応に関する実験
 7.1 酵素反応と反応至適条件
 7.2 検量線の作成
 7.3 反応時間の検討
 7.4 至適pHの検討
 7.5 至適温度の検討
 7.6 酵素の反応速度論を理解する
8. 免疫に関する実験
 8.1 抗血清の作成
 8.2 免疫グロブリン(抗体)の精製
 8.3 タンパク質の免疫学的検出(ウエスタンブロット)
9. 核酸に関する実験
 9.1 ゲノムDNAの抽出
 9.2 制限酵素によるDNAの切断と電気泳動
動物を対象とした実験編
10. 窒素出納に関する実験
11. 糖代謝に関する実験:絶食および糖尿病
 11.1 糖尿病モデルラットの作成と飼育
 11.2 ラットの解剖と試料の処理
 11.3 ラットの尿の定性試験
 11.4 ラットの血液成分の分析
 11.5 糖尿病モデルラットの肝臓と筋肉のグリコーゲン測定
 11.6 グルコース-6-ホスファターゼおよびグルコキナーゼの活性測定
 11.7 小腸粘膜スクラーゼとマルターゼの測定
12. 肝機能に関する実験:脂肪肝
 12.1 脂肪肝モデルラットの作成と飼育
 12.2 ラットの解剖と試料の処理
 12.3 ポリソームプロファイルの分析
 12.4 ラットの血液成分の分析
 12.5 脂肪肝モデルラットの肝臓中の中性脂肪の測定
13. 貧血に関する実験
 13.1 貧血モデルラットの作成と飼育
 13.2 ラットの解剖と試料の処理
 13.3 ラットの血液成分の分析
 13.4 貧血モデルラットの肝臓中の鉄含有量の測定
ヒトを対象とした実験編 
14. エネルギー代謝に関する実験
 14.1 行動時間調査法による1日エネルギー消費量の評価
 14.2 ガス分析による座位安静時代謝量の測定
15. 窒素出納に関する実験
16. 水溶性ビタミン摂取に関する実験
 16.1 水溶性ビタミン摂取後の採尿
17. 血圧に関する実験
 17.1 血圧の測定
 17.2 血圧に影響する因子
18. 感覚に関する実験:皮膚感覚と重量感覚
 18.1 触覚と痛覚
 18.2 点弁別(2点識別閾)
 18.3 重量感覚
19. 腎機能に関する実験:腎臓による体液調節とクレアチニン・クリアランス
 19.1 腎による尿の希釈と濃縮
20. 栄養アセスメントに関する実習
 20.1 身体計測による評価
 20.2 血液検査による血漿タンパク質による評価
 20.3 尿検査による評価