基礎統計学

鈴木良雄/廣津信義・著
シリーズ:
栄養科学シリーズNEXTシリーズ

基礎統計学

発行
2012/09/20
サイズ
B5判
ページ数
150
ISBN
978-4-06-155348-4
定価
2,640円(税込)
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内容紹介

栄養学研究に必要な統計学の考え方が,関連例題で抵抗なく身につくテキスト.
データの扱い方から,多重比較などの実践に必要な手法をわかりやすく解説.
講義だけでなく,卒論や研究時に助けてくれる,役に立つ一冊!


 本書は,初めて統計学を学ぶ人を対象に,栄養科学の幅広い領域で遭遇する統計的な用語や考え方について,基礎的な知識を提供することを目的としている.
 そのため,全体として用語や考え方を理解することに重点をおき,数学的な理論(数式)にはあまり立ち入っていない.また,コンピューターや統計ソフトがあるということを前提にしているので,Excelを使って計算する場合の入力式などは紹介しているが,複雑な計算が必要なものについては,統計ソフトで解析した結果の見方を紹介するようにしている.
 統計学ではさまざまな分布を用いるが,本書では正規分布については章(5章)を設けて説明している.それ以外の分布については,あまり詳しく説明していない.これは正規分布の性質やその使い方を通じて,統計学的な考え方を理解するということを重視し,それ以外の分布については正規分布の応用と考えればよいとして個々の分布の特性にまで立ち入らないようにしているからである.
 本書は,まず個々のデータの性質(2章)や,集団から得られたデータの整理方法(3章,4章)について学び,その後に,得られたデータから一般的な法則を見出すために使われるさまざまな手法や考え方(5章から15章)について学ぶという構成になっているが,内容はこれまでの統計学の教科書とはかなり違ったものになっている.全体をとおして,栄養科学で使われる用語や統計学のあらましを理解してほしい.
 一方,より発展的な内容を知りたいという方は,数学的な統計学の教科書や,医学統計学,多重比較,多変量解析,疫学,実験計画法など,それぞれの分野の教科書へ進んでほしい.本書によって,そうした専門書を読むための基礎体力を養うことができれば,本書としては大成功である.
(まえがきより)

【シリーズ総編集】中坊幸弘/山本茂 
【基礎科目担当委員】木戸康博/高橋吉孝/辻英明 

目次

1.栄養科学と統計学
 1.1 統計学とは
 1.2 栄養科学における統計学
 1.3 統計学を学ぶにあたって
2.データの種類
 2.1 量的データと質的データ:はかることができるかできないか
 2.2 連続データと離散データ
3.度数分布図と代表値
 3.1 度数分布図(ヒストグラム)
 3.2 代表値:ひとつの数字でデータの分布の特徴を表す
 3.3 四分位数:データ数を4等分する
 3.4 パーセント点(パーセンタイル):データ数を100等分する
 3.5 最小値,最大値と範囲
 3.6 代表値の特徴:平均値,中央値,最頻値の比較
4.データの散布度(散らばり)
 4.1 四分位偏差と四分位数範囲
 4.2 標準偏差:散らばりを表現する
 4.3 代表値と散布度による分布の表現
 4.4 変動係数:散らばりの程度を表す
5.正規分布
 5.1 正規分布
 5.2 正規分布の性質
 5.3 標準得点:正規分布にあてはめてみる
 5.4 偏差値:平均値が50で標準偏差が10の正規分布に
 5.5 中心極限定理
 5.6 データの正規性の検定
 5.7 データの対数変換
 5.8 外れ値の対処
6.標本集団から母集団を推定する
 6.1 母集団からの標本集団の抽出法
 6.2 標本集団からの母平均の推定
7.検定の考え方
 7.1 検定の流れ
 7.2 有意性の検定
 7.3 両側検定か片側検定か:帰無仮説とは何か
 7.4 検定も間違える:偽陽性と偽陰性
 7.5 P値の考え方
 7.6 検定と信頼区間
8.2標本の平均値の比較
 8.1 対応のある2標本の平均値の比較
 8.2 対応のない2標本の平均値の比較
 8.3 研究計画における標本数(n)の決め方
 8.4 ノンパラメトリックな2標本間の検定
 8.5 統計方法の選択
 8.6 統計方法の名前について
9.3つ以上の群の平均値の比較
 9.1 検定の多重性
 9.2 分散分析:全体としての比較
 9.3 ボンフェローニの考え方
 9.4 分散の均一性
 9.5 多重比較の帰無仮説と分析方法
 9.6 多重比較をするのに分散分析は必要ではない
 9.7 多重比較に用いられる方法
10.2つの変数の相関
 10.1 ピアソンの相関係数
 10.2 ピアソンの相関係数の評価方法
 10.3 スピアマンの順位相関係数
 10.4 相関関係についての注意
11.2つの変数の回帰分析
 11.1 回帰直線
 11.2 回帰分析の結果の見方
 11.3 回帰直線についての注意
12.多変数の関係
 12.1 対応のある多群間の平均値の比較
 12.2 重回帰
13.研究デザインとクロス集計表
 13.1 研究デザイン
 13.2 クロス集計表
14.クロス集計表の解析
 14.1 割合の信頼区間と母比率の差の検定
 14.2 独立性の検定: カイ2乗検定
 14.3 例数が少ない場合:フィッシャーの直接確率検定
 14.4 被験者に対応がある場合:マクネマー検定
 14.5 相対リスク,絶対リスク減少,オッズ比の解析
15.クロス集計表の応用と生存率
 15.1 適合度の検定:カイ2乗検定
 15.2 分類に順序がある集計表の検定
 15.3 一定期間のイベント発生の解析