健康と環境の科学

川添禎浩・編

健康と環境の科学

発行
2014/03/28
サイズ
B5判
ページ数
171
ISBN
978-4-06-155234-0
本体
2800円(税別)
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2800円(税別)

内容紹介

環境についてヒトの健康の視点でまとめたテキスト。
生態系としての環境、環境史、地球環境問題から時間的空間的把握を目指し,身近な生活環境や典型公害などから健康とのかかわりを学ぶ.大学の教養課程や公衆衛生に最適.

環境と健康は密接な繋がりがある.公害は水俣病やイタイイタイ病などの深刻な健康被害をもたらした.大気汚染や水質汚濁などは現在も身近な環境問題であり,私たちの健康のあり方に直結している.地球規模の環境問題は間接的ではあるが人の健康問題に関連している.
本書では,環境と健康の関係を理解し,環境の変化が健康に与える影響について科学的な認識を深めることができるように執筆した.構成は,「人と環境」編で,まず,環境や生態系における人とその生活のあり方を述べ,次に,環境史と地球環境問題を記すことによって過去と現在の環境問題を概観し,その上で環境保全のための対策を示した.「環境と健康」編では,生活に身近な環境の衛生に触れ,典型7 公害に対する基礎的事項と健康とのかかわり,規制基準,現状と対策などを述べるとともに,廃棄物や放射能に関する事項を含めた.さらには,化学物質による新しい環境問題の現状も取り上げた.最後に,化学物質と人の健康の因果関係の調査について具体例を示して解説した.
本書の特徴として,客観的内容になりがちな環境科学の類書に比べて,環境と生活あるいは健康との繋がりを具体的に把握できるような記述となるよう配慮した.また,コラムを用いて,最先端の話題,興味あるトピックを平易に解説した.本書は,大学などの健康や環境について学ぶ教養課程および管理栄養士・栄養士や臨床検査技師,看護師,薬剤師といった専門職養成課程のテキストとしての使用を想定している.専門職養成課程の学生において,環境と健康に関する事項はおもに公衆衛生学の一分野として学ぶ.しかし,将来,それぞれの専門職で働く際に,人の健康と環境はどのようなかかわりがあるか説明できるようになるためにも,それを取り巻く多くの事柄を学び,広い視野をもって相互のかかわりを考えられるようになることが大切である.(まえがきより)

【執筆者一覧】有薗幸司/石橋弘志/石橋康弘/伊藤貴美子/岡本誉士典/甲斐穂高/川添禎浩/古賀信幸/柴田祥江/杉原数美/高尾雄二/瀧口益史/春山洋一/松原斎樹/松本晋也/山元涼子/吉田香

目次

【人と環境編】
1. 人と環境のかかわり
 1.1 環境とは
  A.環境の定義
  B. 内的環境,外的環境
  C. 主体- 環境系
  D. 人の生活環境,環境保健
 1.2 生態系
  A. 生態系の構成
  B. 生態系の物質循環とエネルギー循環
  C. 生態系における人の生活と環境問題
2. 環境問題の歴史
 2.1 世界における環境問題の変遷
  A.20 世紀前半(第二次世界大戦)まで:工業の発達
  B. 第二次世界大戦後~ 1960 年代:自動車の普及と化学物質の増大
  C. 1970 年代:条約の採択
  D. 1980 年代:持続可能な開発とオゾンホール
  E. 1990 年代:地球サミットと京都議定書
  F. 2000 年以降:地球温暖化対策
 2.2 日本における環境問題の変遷
  A. 明治・大正から昭和:公害と呼ばれた時代
  B. 公害対策基本法の制定
  C. 食品公害
  D. 平成:環境基本法の制定
3. 地球環境問題
 3.1 地球環境問題は相互関連性の強い現象である
 3.2 地球環境問題
  A. 熱帯雨林の減少
  B. 砂漠化
  C. オゾン層の破壊
  D. 地球温暖化
  E. 酸性雨,黄砂
  F.海洋汚染
  G. 野生生物種の減少
  H. 有害廃棄物の越境移動
  I.開発途上国の公害問題
 3.3 地球環境問題を克服し持続可能な社会を構築するには
4. 環境保全
 4.1 環境行政,環境対策
 4.2 環境モニタリング
 4.3 化学物質対策
  A. 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)
  B. 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR 法)
  C. REACH 規則
 4.4 環境マネジメントシステム
  A. ISO14000 シリーズ
  B. エコアクション21
  C. 環境教育
【環境と健康編】
5. 生活環境と衛生
 5.1 気候,季節
  A. 気候と健康
  B. 季節と健康
 5.2 温熱環境
  A. 人の温熱感覚
  B. 温熱の4 要素
  C. 気温,湿度の測定
  D. 気流,放射熱の測定
  E. 温熱環境の指標
  F.暑熱の健康影響
  G. 寒冷の健康影響
 5.3 圧力環境
  A. 気圧(大気圧)
  B. 低圧・低酸素による健康影響(酸素欠乏症,高山病)
  C. 高圧・高酸素による健康影響(酸素中毒,減圧症(潜函病)・潜水病)
 5.4 衣服の衛生と健康
  A. 衣服内気候
  B. 衣服の保温性:クロ値
  C. 温熱的に快適な衣服と健康
  D. 衣服の安全性(皮膚障害・接触皮膚炎)
 5.5 住居の衛生と健康
  A. 室内空気汚染と換気
  B. 湿気と結露
  C. シックハウス症候群
 5.6 衛生動物
  A. 衛生動物について
  B. おもな衛生動物と関連疾患
6. 空気と大気汚染
 6.1 空気組成と主要成分
  A. 酸素(O2)
  B. 窒素(N2)
  C. 二酸化炭素(CO2)
 6.2 大気汚染と環境基準
  A. 二酸化硫黄(SO2)
  B. 二酸化窒素(NO2)
  C. 一酸化炭素(CO)
  D. 光化学オキシダント(OX)
  E. 浮遊粒子状物質(SPM)
  F. 微小粒子状物質(PM2.5)
  G. ベンゼン,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,ジクロロメタン
  H. ダイオキシン類
  I.アスベスト
7. 水と水質汚濁
 7.1 上水
  A. 上水道と普及率
  B. 水道原水
  C. 水の浄化法
  D. 水道水の水質基準
 7.2 下水
  A. 下水道と普及率
  B. 下水処理法
  C. 下水の排出基準
 7.3 水質汚濁
  A. 水質汚濁の発生源
  B. 水質汚濁による富栄養化
  C. 水質汚濁の指標
  D. 水質汚濁にかかわる環境基準
  E. 汚染の現状と対策84
8. 土と土壌汚染,地盤沈下
 8.1 土と土壌汚染
  A. 土と土壌汚染とは
  B. 土壌汚染における健康影響
  C. 土壌汚染にかかわる環境基準,現状,対策
 8.2 地盤沈下
  A. 地盤沈下とは
  B. 現状,対策
9. 音と騒音,振動
 9.1 音と騒音
  A. 音の性質と騒音
  B. 騒音の健康影響
  C. 騒音にかかわる環境基準,現状と対策
 9.2 振動. 102
  A. 振動と周波数
  B. 振動の健康影響
  C. 振動にかかわる規制基準,現状と対策
10. においと悪臭
 10.1 においの強さと悪臭
  A. においの強さ
  B. 悪臭にかかわる規制基準
  C. 現状と対策
11. 廃棄物
 11.1 廃棄物の分類と処理
 11.2 廃棄物の現状
  A. 一般廃棄物
  B. 産業廃棄物
12. 放射線
 12.1 非電離放射線
  A. 種類
  B. 影響
 12.2 電離放射線
  A. 放射線の種類
  B. 放射線の単位
  C. 放射線の人体影響
 12.3 放射線の管理・防護
  A. 身の回りの放射線被曝
  B. 放射線のリスク管理
13. 最近の化学物質による環境問題
 13.1 化学物質過敏症
  A. 化学物質過敏症とは
  B. 化学物質過敏症の症状と原因物質
  C. 化学物質過敏症の課題
 13.2 シックハウス症候群
  A. シックハウス症候群とは
  B. シックハウス症候群の原因
  C. おもな防止対策
 13.3 農薬
  A. 有機リン系農薬
  B. 有機塩素系農薬
 13.4 残留性有機汚染物質
 13.5 ダイオキシン類
  A. PCB とは
  B. ダイオキシンとは
  C. ダイオキシン類とは
  D. ダイオキシン類の生体影響
  E. 日本人の摂取量とわが国のダイオキシン対策
 13.6 内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)
  A. 内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)とは
  B. 種類
  C. 作用メカニズム
  D. 生態系への影響
  E. 疑われる人への影響
  F. 国内・国外の取り組み
 13.7 ナノマテリアル
  A. ナノマテリアルとは
  B. ナノマテリアルの安全性
14. 化学物質と人の健康影響の因果関係を調査するための手法
 14.1 化学物質の有害作用に関する情報
 14.2 疫学
 14.3 疫学の方法
  A. 疫学の方法論
  B. 症例対照研究
  C. コホート研究 155
コラム:沈黙の春/原発事故/福島原発事故/環境教育/ノロウィルス感染症とノロウィルスの生態/ロンドン型スモッグとロサンゼルス型スモッグ/富栄養化と赤潮/医薬品による水環境汚染/米のカドミウム汚染/カドミウムが蓄積しない米の開発/感覚公害/レジ袋有料化/シックハウス症候群の臨床現場での認識:花粉症との相違/ネオニコチノイド系農薬/エコチル調査/奪われし未来