絵でわかる生態系のしくみ

鷲谷いづみ・著 後藤章・絵
シリーズ:
絵でわかるシリーズ

絵でわかる生態系のしくみ

発行
2008/03/10
サイズ
A5判
ページ数
173
ISBN
978-4-06-154758-2
本体
2,000円(税別)
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内容紹介

◆保全生態学の第一人者が説く「自然保護への第一歩!」
◆生態系をよく知り、守り、よみがえらせる!

生態系を知る・守る・再生するための入門書。生態系のしくみの基本から、健全な生態系を保全・再生する実際の活動までを、さまざまな実例とともに、多くのイラストを用いて初心者にもわかりやすく解説する。

【〈はじめに〉より】
 この本のテーマは,生態系です.
「生態系」は,日常会話で普通に使われる言葉とはいえませんが,「化学物質の生態系への影響」,「温暖化が生態系に及ぼす影響」などというように,環境問題が話題になるときにはよく使われます.
 みなさんは,生態系という言葉で,何をイメージするでしょうか.漠然と,何種類もの生物の集まりを思い浮かべるかもしれません.草木が生え,水が流れる風景を思い出す方もいるでしょうか.草をウサギが食べ,そのウサギをオオカミが食べるといった,食べる-食べられるの関係でつながった連鎖のようなものを思い起こすでしょうか.あるいは,私たち人間を取り巻く多様な自然物からなる環境が思い浮かぶでしょうか.
 そのイメージのどれもが,生態学の用語としての生態系のある側面を直接,あるいは間接的に表しています.生態系という言葉は,環境の問題と結びついて使われることが多いため,あまりよいイメージをもっていない方が多いかもしれません.
 生態系という日本語は,エコシステムという英語を翻訳したものです.現代の生態学にはなくてはならない科学の用語でもあります.エコシステムのシステムとは,要素とそれらの間の関係を含む全体を表す言葉です.生態系は,多様な生物とその環境の要素からなるシステムです.それは,複雑で,ダイナミックで,ある意味ではとらえどころのないものです.けれども,そのありさまや働きをしっかりと把握することは,現在,私たちが直面しているさまざまな環境の問題を適切に解決するためにも,サステナビリティ(持続可能性)を確保するためにも,欠かせないことです.
 生態系の科学的な理解をめざしている生態学では,さまざまな切り口で生態系をとらえようとしています.この本では,そんな生態学の営みで見えてくる生態系のさまざまな側面,つまり,その構成,動態,機能,しくみなどをイラストと平易な文章で紹介することを試みました.
 案内役は,水陸両用の身近な生き物のカエルです.くりくりしたあの大きな丸い目を借りて,生態系のいろいろな側面を探ってみましょう.
鷲谷いづみ

目次

序章 生態系のいろいろ
 01 生態系の風景
 02 バイオーム(生物群系)
 03 日本のバイオーム
 04 窒素が循環する生態系
 05 炭素の貯留と循環
 06 生態系に広がる食物網
 07 生態ピラミッド
 08 生物間の関係がつくる生態系
 09 シャーレの中の生態系
 10 サービスを提供する生態系

第1章 生態系を理解するための基礎用語
 1.01 環境:資源/条件
 1.02 生物的環境と非生物的環境
 1.03 生態的地位,ニッチ
 1.04 自然選択による進化
 1.05 植物と動物はどう異なる?
 1.06 個体と個体群
 1.07 植物の生き残り戦略
 1.08 植物の3戦略の関係
 1.09 ギャップの形成とギャップ検出機構
 1.10 クレメンツと遷移説
 1.11 タンスレーが提案した生態系
 1.12 遷移と遷移説
 1.13 シフティングモザイク――ダイナミックな植生
 1.14 生態系を流れるエネルギー
 1.15 生態系の健全性

第2章 生態系をつくる関係
 2.01 光を求める/避ける,植物の順化
 2.02 土壌シードバンク
 2.03 種子を目覚めさせる環境シグナル
 2.04 動物の温度環境への適応
 2.05 共生関係が豊かにした生態系
 2.06 植物と微生物の栄養共生
 2.07 アリとアカシアの防衛共生
 2.08 スペシャリストvs.ジェネラリスト
 2.09 種子分散共生
 2.10 種子を運ぶアリ
 2.11 動物と動物の多様な関係
 2.12 擬態する動物たち
 2.13 消化を担う共生微生物
 2.14 病原生物と宿主の軍拡競走
 2.15 キーストーン種
 2.16 水と陸の生態系をつなぐトンボ
 2.17 生態系をつなぐ生物の移動:ウナギ
 2.18 生態系をつなぐ生物の移動:マガン
 2.19 生態系のレジリエンスと安定性

第3章 生態系と人類
 3.01 ヒトの出現と生態系
 3.02 栄養生理から探る太古の食生活
 3.03 狩りをするヒトの積極的な環境への対処
 3.04 大型哺乳類はなぜ絶滅したのか?
 3.05 氾濫原の自然と水田
 3.06 里山管理と生物多様性
 3.07 イギリスの田園生態系
 3.08 近代農業がもたらした生態系の危機
 3.09 拡大造林がもたらした生態系の不健全化
 3.10 淡水生態系の危機
 3.11 カタストロフィックシフト――生態系の非線形な変化
 3.12 エコロジカルフットプリント
 3.13 カエルの受難
 3.14 ミレニアム生態系評価1――数字で見る生態系の変化
 3.15 ミレニアム生態系評価2――生態系サービスと人間の幸福
 3.16 生態系サービスのバランスシート
 3.17 外来種はなぜ強い?
 3.18 外来種によるさまざまな影響
 3.19 絶滅のおそれのある動植物
 3.20 日本での絶滅のおそれの高まり
 3.21 生態系修復=自然再生の先駆け
 3.22 順応的管理による生態系の再生
 3.23 順応的管理プログラムの例――グランドキャニオンモニタリングプログラム
 3.24 富栄養化と流域における生態系修復
 3.25 生物多様性条約と国家戦略

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