
ノーベル賞物理学者と読む科学史上最高の古典
 
 「待ち望まれた書」
 本書は天体物理の泰斗チャンドラセカールが10年近くの歳月をかけて完成し、「この種の著述が今までどうして現れなかったのかと待ち望まれた書である」(堀源一郎、パリティ Vol. 11、No. 10)と評されるものの日本語版である。訳文は一般読者のためにかみくだいたものとし、詳しい訳注を付け、さらに「古典力学と天体力学の宝典」であることを考慮して索引を新たに付け加えた。巨人ニュートンをいっそう輝かしめる本といえるだろう。
 
 「わかる」プリンキピア
 万有引力の法則を導いたニュートンのプリンキピア(自然哲学の数学的諸原理)は科学の歴史における古典中の古典であるが、それはまた超難解なことでも有名である。本書は、世界的天体物理学者であるチャンドラセカール博士が一般読者に代わってこの難解な古典を読み解いた、「初めて出るプリンキピア注解書」である。博士は、万有引力の法則へとつながる多数の命題の連鎖を「現役の」物理学者として深く洞察し、それらを現代的な手法によって平易に証明してみせた上で、ニュートンの手法と比較する。そうして天才ニュートンの手法が、いかに美しく、明快で、そしてため息の出るような有機的統一性をそなえたものであるかを、まざまざと見せてくれる。われわれは今あらためてニュートンの偉大さに目を見はらざるをえない。
第1章 プリンキピア執筆の経緯
 第2章 基礎概念:定義と公理
 第3章 極限の概念、および無限少量の比について
 第4章 求心引力の下での粒子の運動
 第5章 面積則と、それから導かれる諸関係式
 第6章 円錐曲線に沿った物体の運動
 ・補遺 求心力の双対則
 第7章 ケプラー方程式とその解
 第8章 物体の直線的上昇および下降
 第9章 エネルギーの保存と初期値問題
 第10章 回転する軌道について
 第11章 小休止
 第12章 二体問題
 第13章 ケプラー軌道の要素変化法とニュートンの月運動論:命題65~69入門
第14章 三体問題:ニュートンの月運動論の基礎
 第15章 「大定理」
 第16章 球形でない物体の引力
 第17章 寄り道――ニュートンの光学――
 
 ●ニュートンの世界体系入門(第3編)
 第18章 序章
 第19章 万有引力の法則
 第20章 地球と惑星の形状
 第21章 潮汐の理論
 第22章 月の運動
 第23章 分点の歳差
 第24章 彗星について
 
 ●その他の話題
 第25章 大気の抵抗が物体の降下に及ぼす影響
 第26章 最小抵抗の立体
 第27章 最短降下線の問題
 第28章 音の速度と水路中の長波の速度