新版 臨床免疫学 第2版

宮坂信之/烏山一/浅川英男/大戸斉/山田俊幸・編 

新版 臨床免疫学 第2版

発行
2009/03/20
サイズ
B5判
ページ数
321
ISBN
978-4-06-139825-2
本体
5,400円(税別)
在庫
在庫無し

内容紹介

免疫学の基礎がしっかり学べて,検査医療に役立つ好評テキストの改訂版。

 本書は8年前に刊行された「新版臨床免疫学」をさらに改訂したものである。この8年間の間の免疫学の進歩は目覚ましく、それに対応して本書も新しくすることとなった。この間に、制御性T細胞(Treg)、Th17細胞などの新たな細胞サブセット、自然免疫を構成するToll-like receptor(Toll様受容体)などの新規分子群、IL-17を始めとする新規サイトカインなどが次々と明らかにされてきた。また、関節リウマチではサイトカインの阻害薬の劇的な有効性がクローズアップされる一方で、感染症を始めとする副作用の出現も問題となっている。このように、免疫学は基礎及び臨床の分野ともすさまじい勢いで進歩が進んでいるが、これらの新しい概念を理解することなしには先に進めない。
 このような流れの中で、本書は臨床検査技師になる人々を主たる対象として企画されたものである。しかし、平易に書かれているために、医学、薬学、生物学を志す人々にとっても抵抗なく読めるはずである。本は、総論、各論、実習編の3部からなっているが、必ずしも頭からずっと読み通す必要はない。おもしろそうなところを拾い読みしていただいても構わない。
 本文は、内用をよりわかりやすくするために、二色刷りとした。図のシンボルもできるだけ統一をして、読者の理解を容易にするような工夫をした。また、今回は各章の終わりに、臨床検査技師の国家試験問題の形式で設問を置いた。当該の章の理解が十分であるかどうかを確認するためである。問題にチャレンジし、その解説を読むことで、読者の理解がより深まるであろう。
 このように、本書は「むずかしい」とされる免疫学を「わかりやすく」書いた本である。特に免疫学の中でも臨床免疫学に重点を置いている。本書を読むことによって、臨床検査技師を目指す方々のみならず、一般の方にも臨床免疫学の醍醐味を少しでも理解していただければ幸いである。
(改訂にあたってより)

【執筆者一覧】浅川英男/東隆親/磯部光章/井上茂樹/大戸斉/岡村和彦/小野川傑/小幡文弥/烏山一/窪田哲朗/小松博義/笹原武志/佐藤孝三郎/中川武正/畑中道代/藤田禎三/松下祥/宮坂信之/森尾友宏/山田俊幸/山本恵申/雪竹潤

目次

1.免疫系のしくみと働き
1.1 免疫系の役割
1.2 免疫系の特徴
1.3 自然免疫と獲得免疫
1.4 免疫担当細胞
1.5 免疫系の組織・器官
1.6 リンパ球の発生と多様性の獲得機構
1.7 リンパ球の抗原認識・活性化機構
2.抗原と免疫グロブリン
2.1 抗 原
2.2 免疫グロブリンと抗体
3.補体系の役割
3.1 補体とは
3.2 補体系の反応様式
3.2.1 補体系の活性化経路
3.2.2 C5の活性化とMACの形成
3.3 補体系の制御
3.4 補体系の生体防御における役割
3.4.1 オプソニン活性と抗体産生
3.4.2 炎症のメディエーター
3.4.3 殺菌作用(MACの活性)
3.5 補体欠損症
3.5.1 補体成分の欠損症
3.5.2 補体膜タンパクの欠損症
3.6 補体系とアレルギー
4.生体防御反応のしくみ
4.1 自然免疫
4.1.1 皮膚と粘膜
4.1.2 細胞性因子
4.1.3 液性因子
4.2 獲得免疫
4.3 各種病原体による感染症
4.3.1 細菌感染症
4.3.2 ウイルス感染症
4.3.3 真菌症
4.3.4 寄生虫感染症
5.HLAと移植
5.1 HLAの構造と機能
5.1.1 主要組織適合抗原系
5.1.2 HLAのタンパク質構造
5.1.3 クラスI分子の構造
5.1.4 クラスII分子の構造
5.1.5 抗原提示細胞
5.1.6 MHCクラスI分子による抗原提示
5.1.7 MHCクラスII分子による抗原提示
5.1.8 非典型的MHC
5.2 HLAの遺伝子
5.2.1 HLAの遺伝子構造
5.2.2 HLAの型決定の方法
5.3 HLAと疾患感受性
5.4 移植免疫とは
6.細胞表面分子とサイトカイン
6.1 細胞表面分子
6.1.1 T細胞と細胞表面分子
6.1.2 B細胞と細胞表面分子
6.1.3 マクロファージと細胞表面分子
6.1.4 NK細胞と細胞表面分子
6.2 接着分子
6.2.1 インテグリンファミリー
6.2.2 免疫グロブリンスーパーファミリー
6.2.3 セレクチンファミリー
6.2.4 その他
6.3 サイトカイン
6.3.1 サイトカイン,サイトカインレセプター,ケモカインとは
6.3.2 おもなサイトカインとその機能
6.3.3 免疫応答を制御するサイトカイン
6.3.4 造血とサイトカイン
6.3.5 炎症反応とサイトカイン
6.3.6 サイトカインレセプター
6.3.7 サイトカインネットワーク
7.試験管内実験操作法
7.1 抗原抗体反応の特質
7.1.1 抗原抗体反応に影響をおよぼす物理化学的因子
7.1.2 各試験管内抗原抗体反応の感度
7.1.3 抗原抗体反応に関与する各因子の量的関係
7.2 沈降反応
7.2.1 混合法
7.2.2 重層法
7.2.3 ゲル内拡散法
7.3 凝集反応
7.3.1 直接凝集反応
7.3.2 間接(受身)凝集反応
7.3.3 凝集抑制試験
7.4 溶解反応
7.4.1 溶解に関与する抗体
7.4.2 溶解反応を利用した試験法
7.4.3 特殊な溶解反応と検査法
7.5 中和反応
7.5.1 溶血毒中和反応
7.5.2 ウイルス中和反応
7.6 標識抗原抗体反応
7.6.1 形態学的方法
7.6.2 試験管内標識抗原抗体反応
7.7 抗原抗体反応の機器測定
7.7.1 比濁法と比ろう法
7.7.2 標識抗原抗体反応の機器測定
7.8 細胞表面分子の測定法(フローサイトメトリー:FCM)
7.8.1 フローサイトメトリー
7.8.2 セルソーティング
7.9 ウェスタンブロット法と遺伝子検査技術
7.9.1 ウェスタンブロット法
7.9.2 サザンブロット法とノーザンブロット法
7.9.3 PCR法
8.感染症と免疫
8.1 感染症の診断総論
8.1.1 感染症診断の原則
8.1.2 病原体の直接検出
8.1.3 宿主免疫反応の応用
8.1.4 その他の感染症の補助診断
8.2 血液血清に関する病原体
8.2.1 梅 毒
8.2.2 ウイルス性肝炎
8.2.3 HIVとHTLV_1感染症
8.2.4 その他の感染症
9.アレルギー
9.1 I型アレルギー反応
9.1.1 発症機序
9.1.2 代表的な疾患
9.1.3 検査法
9.2 II型アレルギー反応
9.2.1 発症機序
9.2.2 代表的な疾患
9.2.3 検査法
9.3 III型アレルギー反応
9.3.1 発症機序
9.3.2 代表的な疾患
9.3.3 検査法
9.4 VI型アレルギー反応
9.4.1 発症機序
9.4.2 代表的な疾患
9.4.3 検査法
10.自己免疫疾患
10.1 自己免疫疾患の概念
10.2 臓器特異的自己免疫疾患
10.2.1 慢性甲状腺炎
10.2.2 バセドウ病
10.2.3 重症筋無力症
10.2.4 悪性貧血
10.2.5 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)
10.2.6 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
10.2.7 原発性胆汁性肝硬変(PBC)
10.2.8 自己免疫性肝炎
10.3 全身性自己免疫疾患
10.3.1 全身性エリテマトーデス(SLE)
10.3.2 抗リン脂質抗体症候群
10.3.3 全身性強皮症
10.3.4 多発性筋炎・皮膚筋炎
10.3.5 混合性結合組織病(MCTD)
10.3.6 関節リウマチ(RA)
10.3.7 シェーグレン症候群
10.3.8 血管炎症候群
10.3.9 グッドパスチャー症候群
10.3.10 おわりに
11.血清タンパク異常症
11.1 免疫グロブリンの異常
11.1.1 単クローン性γグロブリン血症
11.1.2 多発性骨髄腫
11.1.3 原発性マクログロブリン血症
11.1.4 MGUS
11.1.5 ポリクローナルに免疫グロブリンが増加する病態
11.1.6 免疫グロブリンが低下する病態
11.2 その他の血清タンパク質の異常
11.2.1 おもな血清タンパク質とその特徴
11.2.2 急性期タンパク
11.2.3 低分子タンパク質
11.2.4 アミロイドーシスとアミロイドタンパク
12.腫瘍と免疫
12.1 腫瘍に対する免疫応答
12.2 腫瘍抗原
13.免疫不全症
13.1 免疫不全症とは
13.2 免疫不全症
14.輸血と免疫
14.1 同種抗原と同種免疫
14.2 輸血の概要
14.3 ABO血液型
14.4 Rh血液型
14.5 その他の血液型
14.6 白血球,血小板および血漿タンパク質の型
14.7 輸血を実施する際の免疫血液学的知識
14.8 母児免疫

1 臨床免疫学実習
1.検体の取り扱い
1.1 感染予防(特にB,C型肝炎)
1.2 検体の保存
1.3 動物の免疫法
1.4 血球浮遊液の調製
2.血清成分の検査
2.1 免疫グロブリンの定量
2.2 血清補体価(CH50)の測定
2.3 補体の定量:補体成分のタンパク質量の測定
2.4 C反応性タンパク質(CRP)の測定
2.5 α_フェトプロテイン(AFP)の測定
2.6 クリオグロブリンの測定
2.7 パイログロブリンの測定
2.8 免疫電気泳動法
3.感染症の検査
3.1 溶血性レンサ球菌感染症
3.2 腸内細菌感染症
3.3 梅毒感染症
3.4 肝炎ウイルス検査
3.5 レトロウイルスに関する検査
3.6 EBウイルス感染症
3.7 リケッチア感染症
3.8 マイコプラズマ感染症
3.9 トキソプラズマ感染症
3.10 クラミジア感染症
4.アレルギー検査
5.自己免疫疾患の検査
5.1 リウマトイド因子
5.2 抗サイログロブリン抗体検査(PA法)
5.3 抗甲状腺ペルオキシダーセ抗体(抗ミクロソーム抗体)検査(ELISA法)
5.4 抗核抗体検査
5.5 抗ミトコンドリア抗体(AMA),抗平滑筋抗体(ASMA)
5.6 その他の自己抗体
6.免疫担当細胞の機能試験
6.1 リンパ球分離
6.2 T細胞,B細胞比率
6.3 リンパ球幼若化試験を用いた薬剤アレルギー検査
7.溶血性疾患に関する検査
7.1 ドナート_ランドシュタイナー反応
7.2 マッケンジー反応
7.3 ハム試験
7.4 ショ糖溶血試験
8.妊娠判定試験
9.機器による検査の自動化
9.1 光散乱分析
9.2 ラテックス凝集反応を原理とする機器
9.3 蛍光・発光イムノアッセイ
9.4 EIA法による分析
9.5 免疫学的測定法に影響を与える被検試料中の因子
2 輸血と移植の関連検査
1.ABO血液型検査
2.RhD 抗原判定法
3.カラム凝集法(マイクロビーズ,ゲル法)による血液型検査
4.抗グロブリン試験(クームス試験)
5.赤血球不規則抗体のスクリーニング
6.交差適合試験
7.血小板抗体検査
8.HLA検査

付 録
付表1 おもな検査法の概略
付表2 ヒト免疫関連分子のCD分類
付表3 免疫学の歴史
付表4 ノーベル賞を受賞した免疫学研究者