火星の生命と大地46億年

丸山茂徳/ビック・ベーカー/ジェームス・ドーム・著

火星の生命と大地46億年

発行
2008/12/10
サイズ
四六判
ページ数
256
ISBN
978-4-06-154282-2
定価
1,980円(税込)
在庫
在庫無し

内容紹介

2030年,人類火星に降り立つ.マリネリス峡谷のカンドール・カズマを基地として,7つの地点の探査に向かい,火星の生命と大地の歴史の解明に挑む科学者の物語.アリゾナ大学のとの共同研究による最新の探査プログラムに沿ったSFとノンフィクションの集大成.
火星の海洋消失,プレート運動停止,磁場消失,生命絶滅・・・一歩先を行く火星の歴史に兄弟星「地球」の未来を見る研究の書.

 本書の前半は、22年後の有人火星探査のSF小説である。ヒューストンを中心に火星探査プログラムが組まれ、選抜された6名からなる科学者チームが火星の地質探査に挑む。近代科学と未来技術を駆使したフィールドサイエンスの醍醐味と、人類の知識最前線の開拓の知的興奮を伝えたい。後半では火星の研究最前線を地球科学のの成果をもとにわかりやすく紹介した。21世紀前半には生物学と宇宙―惑星―地球科学が総合化され、ダーウィンを越えた包括的な生命進化論が生まれるだろう。近未来の科学史における火星研究の位置付けがわかるように配慮したつもりである。(はじめにより)

目次

はじめに--火星の歴史に地球の未来が見える
第1部 人類、火星に降り立つ
■第一章■ 火星へ
1 火星までの道のり
2 赤茶けた不毛の地
3 ついに、火星に降り立つ
4 小さな惑星に巨大な地形
5 砂塵の嵐
6 寒すぎる、水にならない
7 希薄な大気
8 一日は二四時間
■第二章■ 有人火星探査--火星の生命を探すプログラム
1 ヒューストンのプログラム
2 調査旅行 温泉跡へ向かう
3 微生物の探査
4 人類の英知を集結して
5 オリンポス火山へ
6 調査旅行 オリンポス火山で枕状溶岩を探せ!
7 クレータから地殻を覗く
8 調査旅行 アルギレクレータヘ
9 調査旅行 イシディスクレータヘ
10 気象探査と火星内部探査
11 強い磁場の起源
12 調査旅行 イカリア高原の異常に強い残留磁場
13 砂嵐と調査の断念
14 洪水の起源
15 調査旅行 北極点へ、自転軸横転の証拠
■第三章■ 有人火星探査--火星のプレート運動を探すプログラム
1 有人火星探査の成果
2 調査旅行 マリネリス峡谷、断崖絶壁の調査
3 マリネリス峡谷北部支流沿いの大岸壁の地質図
4 岸壁の地質調査と論争
5 論争の決着
6 崖の探査とストロマトライトの発見
7 火星にプレート運動はあったのか
8 火星最古の岩石
9 ストロマトライト化石の発見
10 火星はなぜ死んだのか
11 地球の、はるか彼方で思うこと
■第四章■ 火星探査への道のり--天体望遠鏡による火星観測時代とローウェル
1 「火星人」に思いを馳せた人たち
2 すべては「火星の運河」から始まった
3 パーシバル・ローウェル
4 口ーウェルの生きた時代のアメリカ
5 口ーウェルの生きた時代の日本
6 明治日本のほとばしるエネルギー
7 来日した若き日の口ーウェル
8 『極東の魂』にみる日本観
9 口ーウェルが火星へと導く
10 二人のウェルズと火星人襲来
■第五章■ 火星の運河の正体 火星探査時代の始まり
1 月面着陸がもたらしたもの
2 宇宙探査と軍事競争
3 バイキング計画
4 火星隕石と微化石
5 パスファインダー計画
6 マーズ・グローバルサーベイヤー
7 マーズ・オデッセイとマーズ・イクスプレス
8 スピリットとオポチユニティ
9 ロボットによる地質調査の始まり
10 重要な水平断層
11 口ーウェル再び
第2部 火星に地球の未来が見える
■第六章■ 火星の大地と生命の歴史四六億年--水の惑星だった頃の火星海洋の消失
1 火星の現在の大構造--表層から中心核まで
●クレータ年代学
2 火星史九大事件
3 事件 火星誕生 (四五・六億年前)
●火星の核
●火星の大気
●火星の衛星
4 事件 原始海洋の誕生 (⇒プレート運動の開始、火星生命の誕生、大陸地殻の形成開始)(四五億年前)
5 事件 強い磁場の誕生 (⇒光合成生物の浅海進出) (四四億年前)
6 事件 海水の逆流開始 (⇒酸素濃度の増加、大型生命への進化?) (四三億年前)
7 事件 磁場の停止 (四一億年前)
8 事件 超大陸タウメージアの形成(⇒プレート運動の停止、海洋の消失) (四〇億年前)
●火星の地殻
●北部低地
●南部高地
9 事件 氷隕石の落下 (四〇億年前)
10 事件 タルシス・スーパーブルームの誕生(三九億年前)
●火星のマントル
●スーパーブルーム
●太陽系最大の火山、オリンポス
11 事件 火山噴火による氷河の間欠的溶融の頻発(⇒間欠的なタルシス・スーパーブルームの活動と洪水堆積物) (三九億年前--現在)
●巨大河川あるいは氷河地形
●砂漠
●極冠
●表層地質
12 水はどこへいったのか?
13 新説八九〇〇mの海
14 火星の内部はまだ熱いのか
15 今後の火星探査計画
■第七章■ 火星生命はどこまで進化したか?
1 火星独自の生命進化のシナリオ
2 昔、酸素があったはず
3 酸素は誰が作ったのか?
4 酸素はどこへ
5 酸素と生命進化の関係
6 酸素が増えるメカニズム
7 火星生命はどこまで進化?
8 地球の生物進化
■第八章■ 火星に地球の未来が見える
1 地球の歴史の概観
2 地球と火星との違い
3 地球生命の起源
4 地球生命は火星から飛来したか?
5 地球の未来の大事件、一O億年後に海洋が無くなる、生命の終り。その時何が起きるか?
6 地球は二〇億年後までに核の主要部が凍結し、磁場が無くなる
7 五〇億年後、太陽活動の活発化によって地表は灼熱化?
8 その前に大量絶滅事件が待っている
9 植物の餌、二酸化炭素は無くなるか?
おわりに--生命惑星学の創成に向けて