人体の構造と機能 解剖生理学実習

森田規之/河田光博/松田賢一・編
シリーズ:
栄養科学シリーズNEXTシリーズ

人体の構造と機能 解剖生理学実習

発行
2015/06/26
サイズ
A4判
ページ数
180
ISBN
978-4-06-155377-4
定価
3,190円(税込)
在庫
在庫あり

書籍を購入する

定価
3,190円(税込)

電子書籍

※価格は紙の本と異なります。また、書店によって価格が異なる場合もあります。※配信開始日は各書店により異なります。書店によっては取り扱いのない作品もございます。あらかじめご了承ください。
電子書籍版を見る

内容紹介

ヒトの体を総合的に理解できるように,構造の把握を中心に,系統立てて組織のスケッチや生理学実験を組み合わせた実習書.消化器系,循環器系,泌尿器系はもちろん,皮膚や味覚,骨格器系,呼吸器系,神経系などを扱う.


健やかに生き,疾病を予防するための栄養科学を学ぶ学生にとって,私たちヒトの身体を系統立てて理解することはきわめて重要となる.この実習書においては,まずは構造について,肉眼,そして顕微鏡レベルで把握するため,観察してスケッチで表現するプロセスを重視している.階層性を備えた構造の上で,生理学や生化学,栄養学等で学ぶ生命の営みが展開される.構造把握が的確であるほど,機能の理解も深まると考えるからである.
私たちの身体は,複雑ではあるが,実に巧妙に精緻につくられている.顕微鏡で身体の内まで覗いてみると,細胞が,組織が,美しく調和を保った世界を作り上げている.はじめはわからなくても,観察を重ねることで違いがわかり,構造の美しさに気付いてもらえることだろう.教科書で得た先人の観察と解釈の結果としての知識に対して,自らの感覚を頼りにして観察を行う.自らで「腑に落ちた」構造のイメージを作り上げスケッチを重ねることで,人体の巧みさや素晴らしさに気付き,感覚はさらに研ぎ澄まされ,察する力が観察から考察,推察,そして洞察の段階へと高まることを大いに期待している.
本書では,なるべく自らを肉眼レベルで観察した上で,顕微鏡レベルでの観察へとつなげている.顕微鏡写真の解説では,構造のみならず,はたらきや関わりのある分子,栄養素にも言及している.京都府立医科大学解剖学教室,安田女子大学管理栄養学科・薬学科の組織学実習標本を森田規之が写真撮影し,幸いにして下垂体前葉の内分泌細胞の電子顕微鏡写真については小澤一史先生, 脊髄の組織標本については森田泰博先生のご協力を賜ることができた.本書掲載のスケッチ用写真は,教師用資料としてQXGA モードのカラー画像として提供する.
構造の把握に伴いつつ生理学,栄養学,免疫学等の実験課題を配した.可能なものはなるべく自らを対象とする課題にすることで,構造と機能を密接に連関させつつ理解を深めることを図った.さらには,アドヴァンストとして,内容にふくらみをもたせた課題も紹介し,適宜選択的に活用できるようにした.
執筆者の方々は,担当の分野での研究に,そして管理栄養士養成教育に長年携わってこられ,解剖学・生理学の学び・教えに精通しておられる.記された実習・実験の内容や解説は,解剖生理学を自分自身の身体に関わる身近な学問,栄養を理解するための基盤として親しみと理解を深めるものであり, 将来,医療専門職としての管理栄養士,研究・教育者として,向上心と探求心を持って御活躍いただくことを期待してのものでもある.そして,管理栄養士,栄養士のみならず,コメディカル領域の教育に本書が貢献でき,学生諸君のお役に立つことを願っている.(まえがきより)

【シリーズ総編集】木戸康博/宮本賢一 
【実験・実習編担当委員】岡崎眞/片井加奈子/加藤秀夫/桑波田雅士 
【執筆者一覧】青山裕彦/上岡はつみ/小倉有子/河田光博/木戸康博/京泉誠之
熊井まどか/桑波田雅士/小玉智章/小林ゆき子/中坊幸弘/平野直美/松田賢一
南久則/村松陽治/森田規之/森田泰博/森脇晃義/横山佳子

目次

1. 実習にあたって
 1.1 解剖生理学とは
 1.2 顕微鏡の原理と使い方
 1.3 組織学研究法
 1.4 スケッチの作法
2. 細胞とゲノム
 2.1 組織学実習
  2.1.1 細胞の構成
  2.1.2 体細胞分裂の観察
 2.2 アドヴァンスト
  2.2.1 ゲノムマップとDNA 折り紙モデル
  2.2.2 骨髄細胞からの染色体標本の作製と観察
3. 皮膚
 3.1 肉眼解剖学実習
  3.1.1 皮膚,指紋の観察
 3.2 組織学実習
 3.3 生理学実習
  3.3.1 皮膚感覚:触圧点,痛点,温点,冷点
 3.4 アドヴァンスト
  3.4.1 皮膚の水分量・油分量の測定 .
4. 感覚器系
 4.1 肉眼解剖学実習
  4.1.1 眼の観察
  4.1.2 舌背の観察
 4.2 組織学実習
  4.2.1 視覚器
  4.2.2 平衡聴覚器
  4.2.3 味覚器
 4.3 生理学実習
  4.3.1 瞳孔反射
  4.3.2 盲点
  4.3.3 聴覚
  4.3.4 味覚
 4.4 アドヴァンスト
  4.4.1 ミラクルフルーツによる味覚修飾
5. 運動器系と内臓
 5.1 肉眼解剖学実習
  5.1.1 人体交連骨格模型の観察
  5.1.2 人体模型での筋の観察と自身での筋運動
  5.1.3 人体模型での内臓の観察
 5.2 アドヴァンスト
  5.2.1 人体解剖学実習
 5.3 組織学実習
  5.3.1 軟骨
  5.3.2 骨組織と軟骨内骨化
  5.3.3 筋組織
 5.4 生理学実習
  5.4.1 筋電図測定
6. ラットの解剖
 6.1 肉眼解剖学実習
  6.1.1 実験倫理と法
  6.1.2 ラットの解剖
 6.2 アドヴァンスト
  6.2.1 ラットの脳の解剖
7. 消化器系
 7.1 肉眼解剖学実習
  7.1.1 口腔内の永久歯
  7.1.2 舌下
  7.1.3 口蓋扁桃
 7.2 組織学実習
  7.2.1 唾液腺
  7.2.2 食道
  7.2.3 胃
  7.2.4 小腸
  7.2.5 大腸
  7.2.6 肝臓
  7.2.7 膵臓(外分泌)
 7.3 生理学実習
  7.3.1 唾液によるデンプン消化試験 .
 7.4 アドヴァンスト
  7.4.1 反転小腸によるアミノ酸吸収実験
8. 血液
 8.1 組織学実習
  8.1.1 血液スメア:塗抹標本の観察 .
 8.2 アドヴァンスト
  8.2.1 スメア:標本の作製と染色(ギムザ染色)
 8.3 生理学実習
  8.3.1 浸透圧と溶血
  8.3.2 ヘマトクリット値と血糖値の測定
9. 免疫系
 9.1 組織学実習
  9.1.1 胸腺
  9.1.2 リンパ節
  9.1.3 脾臓
 9.2 免疫学実習
  9.2.1 免疫沈降反応
  9.2.2 赤血球凝集反応によるABO 式血液型の判定
 9.3 アドヴァンスト
  9.3.1 赤血球凝集反応と補体による溶血反応
10. 循環器系
 10.1 組織学実習
  10.1.1 固有心筋と特殊心筋
  10.1.2 血管
 10.2 生理学実習
  10.2.1 脈拍数と血圧の測定
  10.2.2 心音の聴取と心電図測定
11. 呼吸器系
 11.1 組織学実習
  11.1.1 気管,気管支,肺
 11.2 生理学実習
  11.2.1 呼吸数の測定
  11.2.2 肺気量
  11.2.3 ダグラスバッグ法でのエネルギー代謝測定
12. 神経系
 12.1 肉眼解剖学実習
 12.2 組織学実習
  12.2.1 神経組織
 12.3 生理学実習
  12.3.1 膝蓋腱反射
  12.3.2 棒反応時間の測定
 12.4 アドヴァンスト
  12.4.1  カフェインの中枢神経興奮作用による脳機能
(計算能力)亢進
13. 内分泌系
 13.1 組織学実習
  13.1.1 下垂体
  13.1.2 甲状腺と上皮小体(副甲状腺)
  13.1.3 副腎
  13.1.4 膵臓
14. 生殖器系
 14.1 組織学実習
  14.1.1 男性生殖器
  14.1.2 女性生殖器
 14.2 生理学実習
  14.2.1 尿中LH の検出
 14.3 アドヴァンスト
  14.3.1 基礎体温計測
15. 泌尿器系
 15.1 組織学実習
  15.1.1 腎臓
  15.1.2 尿管,膀胱,尿道
 15.2 生理学実習
  15.2.1 尿比重測定
  15.2.2 尿試験紙による尿検査
 15.3 アドヴァンスト
  15.3.1 尿沈渣顕微鏡観察